【「桜を見る会前夜祭」事件】「晋和会」(代表・安倍晋三)の裏金収入額は1000万円を超える

はじめに

政治資金収支報告書(収支報告書)の実際の収支報告書の収支の内容を分析するとして、「桜を見る会前夜祭」の収支不記載を例に、「安倍晋三後援会」(後援会)の収支報告書を分析し、2つの投稿をしました。

これらは、「後援会」が「前夜祭」開催1か月前に見積額を全額ホテルに支払っていたという通常の大宴会の支払い手続きを前提にし、収支報告書を分析して「後援会」が裏金を保有していなければ支払えなかったという疑惑を指摘しました。

一方、「後援会」はホテルには「前夜祭」開催当日会費収入だけを支払いし、経費の不足分については後日資金管理団体「晋和会」(代表・安倍晋三)が支払い不足分を補填したという特別扱いがなされたという報道を前提に、収支報告書を分析し、「晋和会」が裏金をほゆうしていたことになるとの疑惑を指摘しました。

今日、2019年分の政治資金収支報告書について、山口県選管が「後援会」の収支報告書を、総務省が「晋和会」の収支報告書を、それぞれネット公表しました。

「後援会」の2019年分収支報告書(https://www.pref.yamaguchi.lg.jp/cmsdata/b/e/5/be5a408028bfe3c3716a307a25d5b0ad.pdf

「晋和会」の2019年分収支報告書(https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20201127/102790.pdf

 以下では、前回の投稿同様、2019年についても、「後援会」はホテルに対し「前夜祭」開催当日に会費収入だけ支払って、経費の不足分については後日資金管理団体「晋和会」が支払い不足分を補填したという特別扱いがなされたとの報道が一応真実だったと仮定して、各収支報告書を分析してみましょう。

(1)「後援会」の会費収入の不記載・政治資金規正法違反

「後援会」の2019年分収支報告書を確認しましたが、「前夜祭」の会費収入についての記載はその支出(ホテルへの支払い)を含め、ありませんでした。「後援会」は、その点で政治資金規正法違反(不記載罪)になります。

また、「晋和会」に不足分を補填してもらったとしたら、「前夜祭」は「後援会」主催なので、その分は「晋和会」が「後援会」に寄附したことになりますが、「後援会」の収支報告書にはその記載もありませんでした。この点も政治資金規正法違反(不記載罪)になります(なお、もしも「晋和会」にも不足分の支払い義務がある場合や「後援会」に不足分の支払い義務がなく「晋和会」に支払い義務がある場合には、「後援会」の不記載罪にはなりません)。

(2)「晋和会」の政治資金規正法違反(不記載罪)

次に、「晋和会」の2019年分収支報告書を確認しましたが、「後援会」への補填分の寄付の記載もありませんでした。この点で「晋和会」の政治資金規正法違反(不記載罪)も明らかです(なお、もしも「晋和会」にも不足分の支払い義務がある場合や「後援会」に不足分の支払い義務がなく「晋和会」に支払い義務がある場合にも、「前夜祭」についてホテルへの経費不足分支払いの記載がないので、「晋和会」の政治資金規正法違反(不記載罪)になります)。

(3)「晋和会」の不足分肩代わり額は裏金収入額

ここでも、「前夜祭」の毎年の収支に相当する「費用総額」(支出額)、「会費」(収入額)、「安倍氏側の補塡額」(不足額)について、「安倍氏側、『桜を見る会』夕食会に5年で916万円負担」朝日新聞(2020年11月25日 5時00分)で確認しておきましょう。

費用総額会費安倍氏側の補塡額
2015427万円270万円157万円
2016407万円229万円177万円
2017427万円241万円186万円
2018448万円304万円145万円
2019634万円384万円251万円
合計2343万円1428万円916万円

「晋和会」が「前夜祭」の経費支払いの不足分の補填をしていながら、収支報告書にその旨の記載をしていなかったということは、その分の裏金収入があったことになります。つまり、2015年から2019年までの計916万円の補填額がそのまま裏金収入額になります。

 かりに2013年については一部報道があるように補填の記載があったとしても、既に確認したように2014年も記載がないので、裏金収入額は1000万円を超えるでしょう。これらについても、その補填支出だけではなく、その収入源についても「晋和会」の政治資金規正法違反(不記載罪)になります(なお、2014年分は公訴時効)

(4)公職選挙法違反(違法な寄付供与罪)は「安倍晋三後援会」と「晋和会」の共犯!

 「晋和会」が支払った「前夜祭」不足分は選挙区内の者への寄附になりますので、2019年分についても公職選挙法違反(違法な寄付供与罪)は主催者「後援会」と「晋和会」の共犯になります。

5000円の会費にしては前夜祭での料理などは見劣りするものだったという参加者の意見があり、その意見が妥当で寄附にはならないとの反論も予想されます。たとえそうであったとしても、会費を1円も支払ってない参加者もいるようようなので、公職選挙法違反(違法な寄付供与罪)は成立するでしょう。というのは、すでに指摘したように、例えば、前掲の朝日新聞の報道だと、2019年の「前夜祭」の会費収入は384万円ですから参加費一人5000円だと会費を支払ったのは768人になり、安倍氏はこれまで参加者数を約800人と説明していました(これは少なめの数字)ので、会費を支払っていない者が約32名になるからです。

 2018年の会費収入は304万円なので会費支払者は608人、2017年は241万円なので482人、2016年は229万円なので458人、2015年は270万円なので540人になりますが、実際の参加者人数がそれぞれ異常よりも多ければその差の人数が会費を1円も支払ってない者になります。それらが安倍前首相の選挙区の者らであれば、公選法違反(違法な寄付供与罪)は明らかです。

                                 以上。

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