アベノマスクについて情報公開請求し提訴した理由・目的

はじめに

 「高校生からの情報公開請求」のページにおいて、「アベノマスクを例に情報公開請求のやり方を解説しましょう」という投稿をした際に、私が厚生労働大臣にアベノマスクの情報公開請求した一部を紹介しましたが、ここでは、改めて、それを含む情報公開請求と提訴について紹介します。

 

(1)アベノマスクについて情報公開請求した理由

 4月1日の新型コロナウイルス感染症対策本部において、安倍晋三首相は、布マスクを、高齢者施設、障害者施設、全国の小中学校向けに確保し、全国で5000万余りの世帯全てを対象に日本郵政の全住所配布システムを活用して一住所あたり2枚ずつ配布する予定である等と発表しました。

 しかし、これに対しては、専門家から「布マスクは織り目のサイズが大きいため、飛沫を防ぐ効果が小さい。また繰り返し洗って使う場合、管理が悪いと雑菌がはびこる可能性があり、かえって不衛生になる可能性も挙げる。」などと指摘されました。また、国民の間では、なぜ1住所に2枚なのか、もっと他に先にすべきことがあるのではないか、税金の無駄遣い等の批判が相次ぎ、「アベノマスク」と揶揄されました。海外メディアでも「アベノミクスからアベノマスクへ。マスク配布策が冷笑を買う」「エイプリルフールの冗談ではないかと受け止められている」と報じられました。

 にもかかわらず、同月7日、政府は「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」として布マスクの配布を閣議決定し、一般家庭に後日配布することとなりました。同月9日、野党の会合において、政府は布マスクの配布に関する諸費用の総額が466億円になる計算だと説明されました。

 アベノマスクに対する批判は尤もですし、無駄なアベノマスクに466憶円もの税金を使うのは理解し難いことです!

 そこで私は、同月28日には厚労大臣に対し、5月11日には文部科学大臣に対し、それぞれ、業者とのアベノマスクの配布・契約等やアベノマスク回収等に関する文書を情報公開請求したのです。

 

(2)提訴した目的

 私の請求に対し、厚労大臣は、5月29日付けで開示決定等の期限を翌6月29日まで延長する旨の決定を行いましたが、その延長期限内に開示はなされず、それから約2か月経過した8月27日付けで、アベノマスクについての業者の見積書、納品書および契約書を開示決定しました。

 また、文科大臣は、6月10日付けで開示決定等の期限を7月13日まで延長する旨の決定を行い、同日付けで契約書を開示する旨の決定を行ったのです。

 しかし、厚労大臣は、アベノマスクの「単価及び数量」につき「公にすることにより、契約単価が判明し、今後の価格交渉等に支障を及ぼすおそれがあること」を理由に、文科大臣は、この理由に加えて「当該法人の調達等に関するアイデアやノウハウに係るものであるため、これらの情報が開示された場合、当該法人の調達等に関するアイデアやノウハウに係る情報を他社が入手することが可能となり、当該法人の競争上の地位を害するおそれ」があることを理由に追加して、不開示にしたのです。

 しかし、アベノマスクの「単価」等が「調達等に関するアイデアやノウハウに係るものである」とは到底思えませんし、アベノマスクの配布は明らかに政策として失敗ですから同じ失敗を繰り返すとは到底思えませんから、「単価」等を非開示にする理由はありません。

 つまり非開示理由は屁理屈以外の何ものではなく稚拙です。むしろ公表するのが当然です。「単価」等を不開示にした真の理由は、その失敗した政策について国民の知られることを恐れて違法に不開示にしたのでしょう。

 そこで、私は、代理人の弁護団を通じて9月28日「単価」等の非開示処分の取消と開示を求め大阪地裁に提訴しました。あわせて、厚生労働大臣が自ら設定した開示決定延長期限を遵守せず、長らく放置したことについて60万円の国家賠償を請求しました

 

最後に 

 この訴訟では、複数の業者との間で締結された各契約においてアベノマスクの各「単価及び数量」がそれぞれ幾らだったのか明らかにし、そのことを通じて、何故アベノマスクの配布という失政が採用され強行されるに至ったのか、その真相の解明にもつなげたいと思います。

以上。

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