アベノマスク情報公開訴訟(単価訴訟)大阪地裁判決の確定について

上脇博之・神戸学院大学法学部教授がいわゆるアベノマスクに関する文書を情報公開請求をし、厚生労働大臣と文部科学大臣が当該文書を開示したものの、アベノマスクの契約書等の単価及び数量を非開示にしたので、その取消等を求めた情報公開訴訟については、今年(2023年)2月28日に、大阪地方裁判所(徳地淳裁判長)において原告の全面勝訴の判決が下されました(単価訴訟、大阪地裁令和2年(行ウ)126号)。その経緯と判決文については、以下で公表しました。

アベノマスク単価情報公開訴訟で勝訴判決!

判決の3日後には、弁護団の「弁護士のつぶやき」を紹介しました。

アベノマスク大阪地裁判決を国は控訴するほど馬鹿ではないと信じたい

この呟きが功を奏したようです。

上記アベノマスク情報公開訴訟は、判決からちょうど2週間になる昨日(3月14日)までに国から控訴がなく(原告からも控訴はしていません)、契約書等の単価や数量の開示を命じる上記大阪地裁判決が確定しました。

すでに報道されています。

今後、改めて単価等も含めた文書の開示決定がされ、原告に文書が開示される見込みです。

単価訴訟の大阪地裁判決の確定を受けた原告・弁護団長のコメントは以下のとおりです。

                                2023(令和5)年3月15日

■原告 上脇博之(かみわきひろし) (神戸学院大学法学部教授)

新型コロナの感染防止を口実にして全世帯に配布された布マスク(アベノマスク)は、国民の支払った税金から支出された以上、その単価と数量は、当然開示されるべき情報であったから、厚生労働大臣と文部科学大臣の非開示処分は違法だったし、あまりにも非常識な判断だった。2月28日の大阪地裁における原告勝訴判決は情報公開訴訟としては当然の判決であり、常識的な結論だった。

だからこそ、国は控訴することなど恥ずかしくてできなかったのだろう。

今国に求められるのは、第一に、単価と数量を直ちに原告に開示し、国会にも国民にも公表することである。

第二に、アベノマスクの全世帯への配布を決定した詳細な経緯、また、業者との契約に至る経緯を含め業者とのやり取りの詳細のわかる文書をすべて公開することである。

第三に、新型コロナ感染防止効果の期待できないアベノマスクを全戸配布するという政策を国があえて採ったことについて、きちんと検証することである。きちんとした検証なしには、同じ過ちを繰り返しかねない。岸田政権が決断すれば簡単にできることである。最後に、衆参の各国会議員や各政党はもちろん、衆参各院は、国政調査権を行使して、アベノマスク政策の検証に奮闘していただきたい。

■弁護団長 弁護士阪口徳雄

大阪地裁判決は、随意契約における税金で支払うマスクの単価を開示しない処分が如何に非常識かを明らかにした判決と言える。国が控訴できなかったのは当然と言えば当然であった。同じような過ちを起こさないよう、厚労省、文科省に強く要求する次第である。

直ちに単価を開示することを要求する。同時に単価だけではなく、アベノマスクの配布について、唐突な安倍総理の決定から随意契約締結に至る経過、配布経過、マスクの全世帯の配布がどれだけコロナ予防に効果があったかについて検証を行い、今後同様の感染症が発生したときに同じような愚策を行なわないための教訓を導きだすべきである。それが岸田政権に今早急に求められている。

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