財務省「森友学園」小学校設置趣意書の情報公開請求と提訴(第二次・第三次訴訟)の理由・目的

 財務省「森友学園」案件に関する情報公開と提訴について、もう一つ投稿します。

(1)財務省「森友学園」小学校設置趣意書を情報公開請求した理由

 私は、2017年3月2日近畿財務局に対し「森友学園」等との「交渉・面談記録」など多くの文書を情報公開請求しました(「交渉・面談記録」の開示を求めて大阪地裁に第一次訴訟を提起したのは同年6月6日)が、その請求では、森友学園の「小学校設置趣意書」と賃貸借契約書が漏れていたので、私は同年5月10日付で近畿財務局に対し森友学園の「小学校設置趣意書」等の情報公開を請求しました。

 近畿財務局は同年7月10日「小学校設置趣意書」につき、その表題の小学校名を不開示処分にし、その本文を全部不開示処分しました。つまり、開示された文書はほとんど真っ黒に塗りつぶされていたのです。

 その不開示理由は「経営上のノウハウが書かれている」から、というもので、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報のうち、「公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのあるもの」という「不開示情報」に該当するというのです。

 しかし、表題の小学校名が経営上のノウハウとは到底思えませんし、「小学校設置趣意書」には「経営上のノウハウ」が書かれているとは思えませんでした。

 そこで私は同年10月1日その不開示処分の取消を求め、代理人の弁護団を通じて大阪地裁に提訴したのです(「第二次訴訟」)。

 すると、森友学園の管財人は同学園が小学校を開設しないので全部開示してかまわないと判断したため同年11月24日近畿財務局長は森友学園の「開成小学校設置趣意書」を全部開示したのです。

 ところが、そこには「経営上のノウハウ」と言えるような内容は書かれていなかった上に、誤字や空欄もあり未完成の下書きではないかと思われるものでした。そのうえ、その内容は、日本国憲法に適合する「こども権利条約・男女共同参画・雇用均等法」などを「日本人の品性をおとしめ世界超一流の教育をわざわざ低下せしめた」と批判し、さらに戦前の「富国強兵的考え」や「教育勅語」を高く評価する記述になっていて、森友学園の塚本幼稚園の園児の「受け皿が必要」だと書かれていたのです。これは「安倍首相の教育理念と合致する小学校」と評しうる内容でした。

 

(2)第3次訴訟提起と“当たり前”の原告勝訴判決

 そこで私は同月(2017年11月)30日、不開示事由がないにもかかわらず不開示した処分が違法であったとして国に110万円余りの賠償を求め、代理人の弁護団を通じて大阪地裁に提訴しました(「第三次訴訟」)。

 財務局職員が大阪府庁を訪ねた際の記録には府職員の発言として「安倍晋三記念小学校として本当に進捗できるのか、取り扱いに苦慮している」と明記されていた(2014年3月4日)ことが第三次訴訟提訴後の2018年に判明しました(朝日新聞同年5月24日)。

 翌2019年3月14日大阪地裁(第7民事部)は、不開示処分が情報公開法上違法であり、かつ国家賠償法上の違法であり、故意の認定はされなかったものの過失があったと認定し、国に5万5000円を賠償するよう命じました

 故意が認定されなかったのは残念でしたが、原告の主張のほとんどが認容され、「全面勝訴判決」と評価しても過言ではない判決内容でした。当時やっと初めて“当たり前の判断”がなされました。

 同月28日までに国は控訴を断念しましたので、翌29日原告・弁護団一同は、「あまりにも非常識な行為を控訴して、これ以上の恥の上塗りを避けたのであろう。当然の処置である。それにしてもやっと森友問題で国民の常識が通用したことを歓迎したい。」などとする内容のコメントをマスコミに発表しました。

最後に

 思い返しても、「森友学園」の小学校設置趣意書の不開示は、安倍政権における露骨な隠蔽体質の現れだったと痛感した違法行為でした。

 財務省近畿財務局が「小学校設置趣意書」を不開示処分にせず、素直に開示していれば、私は、そもそも第二次訴訟も第三次訴訟も提起せずに済んだのです。国は本来開示すべきなのに、あえて安倍政権のために開示しなかったのです。私が訴訟を提起しなければ設置趣意書はこの世に公表されないままだったでしょう。結果的に国は政権維持のために時間稼ぎをしたのです。

以上。

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