会計検査院の調査結果に関するコメント(11/22)
国有地の低額譲渡の真相解明を求める弁護士、研究者の会
共同代表 阪口徳雄(弁護士)同 菅野園子(弁護士)
会計検査院の本日付の国会への報告によると
1 大阪航空局の「内訳書」の本件土地の深度9.9m又は3.8mまであったという事実及びゴミ混入率の47.1%と計算した事実の認定に関しては根拠資料が曖昧であること、8億円余の積算の大きな比重を占める「処分費」のトン単価22500円の詳細な内容の「証拠」がなく、合計ゴミ撤去費用の8億余の金額を控除した積算内容は、「恣意的」な積算であることが指摘されました。国の答弁において説明した「8億円余」の減額根拠がなかったことになります。この点の指摘は極めて正しく評価出来るとおもいます。
2 しかし最後のつめが「意図的」に甘く、政権に忖度している点があり、極めて残念です。
(1)「証拠がない」ので適正価格が算定出来ないと言うのなら、当会が11月2日付で会計検査院に要請したように、会計検査院が自ら本件土地内にゴミがどれだけ残っているのか客観的に調査して算定すべきであったのです
会計検査院への要求書参照(https://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7629/)
それをせず本来の適正積算額が算定できないというのは、多くの国民の期待に反し、遺憾に思います。
(2)ゴミの量を正確に調べる証拠がないなら、大阪航空局算定の19520トンあった前提で財務省がどのような基準によるべきであったかを言及することは可能でした。近畿財務局は地中埋設物の撤去費用の積算において本来よるべき積算基準は国土交通省大臣官房官庁営繕部監修の「公共建築工事の積算基準」(平成27年版)によって積算すべきと指摘すべきであったからです。それによると私達が専門家に鑑定して貰ったところ「金4億3572万3684円が「適正」金額であり金3億8401万8263円を「過大に水増し」していることになりました。
ちなみに本基準は平成15年3月20日国の機関が集まって「官庁営繕関係基準類等の統一化に関する関係省庁連絡会議において、統一基準として決定した基準」であり、本基準の第1条には「この基準は、公共建築工事を請負施工に付す場合において、予定価格のもととなる工事費内訳書に計上すべき当該工事の工事費(以下「工事費」という。)の積算について必要な事項を定め、もって工事費の適正な積算に資することを目的とする」と書いている通り、国が自らこの基準で積算すると決めているからです。
(なお空港請負工事積算基準によるべきでないことは既に明らかにしています。
https://kokuyuuti-sinsoukaimei.com/7604/)
3 私達246名の弁護士、研究者は背任罪で今大阪地検に告発をしています。
国有地の売買に関与する財務省、大阪航空局の職員達には正確に本件土地内のゴミの量を調査して、適正な金額を積算すべき任務があります。しかし、会計検査院にも説明できないような「曖昧」「恣意的」な基準で8億円余を減額したことは、国有地を売買する職員達に課せられている任務に違背していることになります。会計検査院の調査結果でも、背任罪の任務違背が明らかになった以上、大阪特捜部は、会計検査院が「意図的」に外した最後のつめを行い、厳正に捜査して、背任罪で起訴することが求められています。当会としては会計検査院の報告書を精査して早急に特捜部に被告発人らの任務違背の具体的事実、図利加害目的及び損害有無などに関して要請行動を続けたいと思います。