黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決めた安倍内閣閣議決定に関する2020年・2021年の各情報公開請求とその結果の紹介(開示文書の公表)

はじめに

黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定に関して昨2020年に行った情報公開請求と提訴については、すでに以下で紹介しています。

黒川弘務東京高検検事長の定年延長を決めた閣議決定に関し情報公開請求し提訴した理由・目的

黒川検事長定年延長決議の真相解明の訴訟

以下では、改めて、上記についての私の情報公開請求とその結果について紹介します。それは、具体的には

①私の情報公開請求書、②国の開示決定通知書、③不開示決定通知書、④開示された行政文書

をそれぞれPDFファイルにして紹介することになります。

今回は、以上の昨年行った情報公開請求とその結果の紹介に加え、

追加の情報公開請求を今年(2021年)3月に行い、その結果として不開示決定がなされましたので、それについても紹介します。

なお、以下で紹介する私の情報公開請求書は300円の印紙を貼り付ける前のものです。また、開示決定通知書と不開示決定通知書については、いずれも1枚目のみの公表とさせていただきます。

1.私の昨2020年2月の情報公開請求とその結果

(1)昨2020年2月の情報公開請求書

昨2020年1月31日、安倍晋三内閣は、閣議において、黒川弘務東京高検検事長の勤務を半年延長し同年8月7日までと決定しまた。

そこで、私は、同年2月26日、法務大臣、内閣法制局長官、人事院総裁に対し、それぞれ、その閣議決定前と閣議決定後に分けて行政文書が開示されるように情報公開請求しました。

私の請求書は以下です。クリックしてご覧ください(私の住所と電話番号はマスキングしています)。

法務大臣への情報公開請求書(2020年2月26日付)

内閣法制局長官への情報公開請求書(2020年2月26日付)

人事院総裁への情報公開請求書(2020年2月26日付)

2)法務大臣への請求分の決定通知書と開示された文書

①開示決定通知書と不開示決定通知書

法務大臣への上記情報公開については、法務大臣から、同年3月26日付開示決定期限延長通知書が届き、60日間延長(請求から60日までに開示決定するという意味ではないか)。延長理由は「現時点において、ほかに処理すべき事務の量が多く、当該開示請求の事務処理が困難なため」と明示されていた。

そして、同年4月24日付開示決定通知書及び同日付不開示決定通知書が届きました。それぞれの決定通知書は以下です。クリックしてご覧ください。

法務大臣の開示決定通知書(2020年4月24日付)

法務大臣の不開示決定通知書(2020年4月24日付)

以上の各決定通知書をご覧いただくとお分かりいただけるように、私が請求したもののうち、

閣議決定前については、請求の一部が開示決定されました。

その残り不開示決定され、

閣議決定後については、すべての請求不開示決定となりました。

②法務省から開示された閣議決定前の文書

開示された文書は以下の2つの文書で、閣議決定前のものということですが、日付は明記されていません。クリックしてご覧ください。

法務省「勤務延長制度(国公法第81条の3)の検察官への適用について」

人事院「勤務延長に関する規定(国公法第81条の3)の検察官への適用について」

(3)人事院への請求分の決定通知書と開示された文書

①開示決定通知書と不開示決定通知書

人事院総裁への上記情報公開については、人事院総務局給与局長から、同年3月26日付開示決定期限延長通知書が届き、同年 4月27日まで延長されると明記されていました。延長理由は「現時点において、ほかに処理すべき事務の量が多く、当該開示請求の事務処理が困難なため」でした。

それぞれの決定通知書は以下です。クリックしてご覧ください。

人事院総務局給与局長の開示決定通知書(2020年4月24日)

人事院総務局給与局長の不開示決定通知書(2020年4月24日)

以上の各決定通知書をご覧いただくとお分かりいただけるように、人事院の場合も、法務大臣の場合と同じで、

私が人事院に請求したもののうち、

閣議決定前については、請求の一部が開示決定されました。

その残り不開示決定され、閣議決定後については、すべての請求不開示決定となりました。

②人事院から開示された閣議決定前の文書

人事院によって開示された閣議決定前の文書は法務大臣が開示したものと全く同じもののようで、いずれも日付は明記されていません。念のために紹介しておきます。クリックしてご覧ください。

法務省「勤務延長制度(国公法第81条の3)の検察官への適用について」

人事院「勤務延長に関する規定(国公法第81条の3)の検察官への適用について」

(4)内閣法制局長官への請求分の決定通知書と開示された文書

①開示決定通知書と不開示決定通知書

内閣法制局長官への情報公開s家裕については、同年3月24日付で補正要求書が届いたので、電話して補正不要と伝えましたが、各自決定前の請求のうちの一部については同年3月24日付で「応接録」への補正要求ありましたので、それに応じたところ、同年3月31日付で「応接録」の請求につき法務省に移送する旨の通知があり、同年4月13日付で法務大臣から連絡がありました。

そして、法務大臣から「応接録」を開示する旨の同年4月24日付開示決定通知書が届きました。

内閣法制局長官からは、以上以外の請求分について同年3月27日付不開示決定通知書が届いていました。

(内閣法制局移送)法務大臣の開示決定通知書(2020年4月24日)

内閣法制局長官の不開示決定通知書(2020年3月27日)

②移送を受けた法務省から開示された文書

法務大臣が開示決定して法務省から届いたのは、以下の「応接録」で、

それには、法務省「勤務延長制度(国家公務員法第81条の3)の検察官への適用について」および関係法令解説書の一部が一緒になっていました。

したがって、分量が多いのですので、ご留意のうえ、以下をクリックしてご覧ください(内閣法制局の開示文書の実質的な文書は1枚目の「応接録」です)。

「応接録」(勤務延長制度(国家公務員法第81条の3)の検察官への適用について)

2.私が今年3月に行った追加の情報公開請求とその結果

(1)2020年1月時点における法務省行政文書取扱規則の定め

昨2020年1月時点で効力を有していた法務省行政文書取扱規則は以下です。

法務省行政文書取扱規則(平成30年12月17日改正)

以上の法務省行政文書取扱規則には、上記1で紹介した開示文書との関係で注目すべき条文や様式があります。

(起案文書の作成)第11条 起案文書は,原則として,文書管理システムを用いて作成するものとする。
2 持ち回りの方法により決裁を受ける必要がある起案文書の作成その他文書管理システムを用いて行うことが適当でない起案文書の作成は,起案用紙(様式第2号)又は文書管理システムから出力した起案用紙を用いて行う。
3 前2項の規定にかかわらず,軽微な内容について指示又は確認等を求める起案文書は,本省内LANシステム等を用いて作成することができる。

この第11条関係の様式第2号は、以下です。クリックしてご覧ください。

法務省行政文書取扱規則様式第2号

そのほか、以下も注目すべき条項です。

(法務省外部への施行)第24条 法務省外部に行政文書を施行する場合は,紙施行によるものとする。ただし,特別な事情が認められるときは,電子施行によることができる。

(公印及び契印)第25条 行政文書を紙施行するときは,施行すべき行政文書に施行名義の公印(法務省公印規程(昭和59年秘文訓第10号)に規定されているものに限る。)を押印しなければならない。

(文書の受付)第10条 部局は,第8条ただし書に定めるところにより文書を受領したとき及び前条により文書が送付されたときは,速やかに, 当該文書が当該部局の所管に関する文書であることを確認するものとする。
2 部局は,前項により確認を行った文書については,文書管理システムに所要の事項を入力し,受付番号を登録するとともに, 当該文書の余白に受付印(様式第1号)を押印し,受付番号を記入するものとする。ただし,文書管理システムへの入力により難い相当の理由がある場合は,あらかじめ部局長の承認を得て別に定める帳簿に記入又は入力することにより,文書管理システムへの入力に代えることができる。

この第10条関係の様式第1号は以下です。クリックしてご覧ください。

法務省行政文書取扱規則様式第1号

(2)法務大臣への追加の情報公開請求書

 そこで、以上の条項及び様式を踏まえ、私は、法務大臣に対し、今年3月16日付で追加の情報公開請求を行いました。

私の法務大臣への追加情報公開請求書(2021年3月16日)

 ただし、この請求書において私が昨年情報公開請求した旨を明記していた点は補正で削除しました。その関係で、その点の点も一部補正しました。補正後の請求対象文書の特定は、以下になりました(下記の不開示決定通知書でもご確認ください)。

1 「勤務延長制度(国公法第81条の3)の検察官への適用について」について法務省内部において作成者が他の担当者らに供覧内容、報告内容(又は決済を求めた場合はその決済内容)を記載した文書(法務省行政文書取扱規則様式第2号記載の決済・供覧・報告文書)

2 「勤務延長制度(国公法第81条の3)の検察官への適用について」に関して、法務省外部(人事院、内閣法制局)に施行した事実を記載した文書(法務省行政文書取扱規則第24条に記載する文書)及び法務省行政文書取扱規則第25条各号に記載の文書

3 「勤務延長に関する規定(国公法第81条の3)の検察官への適用について」について法務省行政文書取扱規則第10条第2項による手続きを記載した文書

4 「勤務延長に関する規定(国公法第81条の3)の検察官への適用について」を受領した後に法務省内部の担当課に供覧・報告した文書

5 「応接録(勤務延長制度(国公法第81条の3)の検察官への適用について)」について法務省行政文書取扱規則第10条第2項による手続を記載した文書

6 「応接録(勤務延長制度(国公法第81条の3)の検察官への適用について)」を受領した後に、法務省内部の担当課に供覧・報告した文書

(3)法務大臣の不開示決定

 法務大臣は、なんと驚くべきことに、今年4月16日付不開示決定通知書により、いずれの請求についても不存在(作成または取得しておらず、保有してないため)を理由に不開示決定しました。

法務大臣の不開示決定通知書(2021年4月16日)

以上です。

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