真っ先に強制捜査すべきは近畿財務局だ(「森友学園」強制捜査に対するコメント)

大阪地検特捜部は、森友学園問題の疑惑の核心である国有地の低額譲渡について徹底捜査を尽くすべきであり、真っ先に強制捜査すべきは近畿財務局であろう。

 大阪地検特捜部は、6月19日、学校法人森友学園が、国と大阪府の補助金を不正に得た疑いがあるとして、大阪市淀川区の森友学園や豊中市の籠池泰典前理事長の自宅など4箇所で捜索差押えを行った。
捜索容疑は、特別支援児助成金の詐欺と、サスティナブル補助金に関する補助金適正化法違反であるが、前者については籠池前理事長も不正取得を認めており、適正な捜査が行われるのは当然のことである。

 しかし、森友学園をめぐる疑惑の核心は、存在しない地下埋設物の撤去費用名目で不当な値引きがなされて、国有地が不当に低額譲渡された疑惑であり、そこへの安倍晋三内閣総理大臣夫人である安倍昭恵氏の関与と、近畿財務局をはじめとする財務省の背任容疑であり、大阪地検特捜部に期待されるのはこの疑惑の解明である。すでに、木村真豊中市議らによる背任罪での刑事告発が受理されているにもかかわらず、こちらの捜査は放置され、進展していない。

 近畿財務省は当時使用していた情報システムをNECに委託して更新すると以前から報道されているのであるから、関係証拠を保全する爲に直ちに強制捜査すべきであったのに、それを放置して、森友学園のみの強制捜査は国民から見れば本末転倒であろう。

 本件捜査は、森友学園疑惑、加計学園疑惑をうやむやにしたまま国会を閉会させた安倍首相が弁明記者会見を終了した直後に着手されるなど、内閣支持率が急落する中、疑惑隠しに終始する政権への批判をそらそうとする「国策捜査」「籠池悪者という印象捜査」との批判を免れない。

 大阪地検特捜部は、政治家、高級官僚の不正、腐敗を追及することが国民から期待されている。私達は本来の政治家、高級官僚の疑惑の核心である国有地の低額譲渡問題の真相解明のために捜査を尽くすことを求めるととともに、これを疑惑のまま終わらせないために、更なる告発を準備している。

2017年6月20日
国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会

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