文科省が「総理のご意向」文書等を公表。
菅義偉官房長官の「怪文書」発言は全くのデマだった!世論の厳しい批判がなければ、「怪文書」のままで終わった。しかしこの程度の文書の公表を菅長官は必死になって抵抗したのは、真実は国政の「私物化」「お友達への便宜供与」だったことが国民に明らかになることを恐れ、隠蔽したかったからだろう。黒を白と言いくるめる安倍政権である。口先だけの安倍総理や菅長官らのいうことを信じていると、主権者国民はとんでもない方向に誤導される。要注意!!要注意!!
2017年6月19日 「真相解明の会」調査班
1 はじめに・・・公表された文書のPDFファイル公表
国家戦略特区での学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり「総理のご意向」と書かれた文書については菅義偉官房長官が「怪文書みたいな文書じゃないか」と発言し、松野博一文科大臣は「文書の存在は確認できなかった」とシラを切った。
しかし、その後、前川喜平・前文科事務次官や現役の文科省職員が「文書は存在し、共有されていた」と証言し、疑惑が深まり、国民の批判を浴びたため、松野大臣は追加調査をすると発言し、共謀罪法案の強行採決後に(6月15日)、少なくとも文科省と内閣府の協議などを記録した19種類のうち14種類の文書が見つかったと発表し、マスメディアに10種類の文書を公表した。
本会は、その文書を入手したので、PDFファイルで公表します。
2 確認できる事実
そのうち、重要な文書について簡単に解説しますが、その前にいくつか事実を確認しておく。
安倍総理は学校法人「加計学園」の理事長・加計孝太郎を「腹心の友」と公言しており、しばしば一緒にゴルフや会食をしている。安倍総理夫人の昭恵氏は2015年6月から、加計学園が神戸市で運営する認可外保育施設「御影インターナショナルこども園」の名誉園長を務めている。昭恵夫人は、自身のフェイスブックで、安倍首相と加計理事長らが2015年のクリスマスイブの日に一緒に飲み会をしている写真を公表し、そこに「男たちの悪巧み・・・(?)」と書いていた。
萩生田光一官房副長官は、自身のブログに、2013年5月に安倍総理の別荘で加計学園・加計孝太郎理事長らと仲良くバーベキューする写真を掲載している。また、落選中、加計学園系列の千葉科学大学の客員教授を務め報酬を受け取っており、今は名誉客員教授である。
今治市は2007年1月から2014年まで加計学園に獣医学部の新設するために構造改革特区への指定を15回にわたって求め、いずれも認められなかった。ところが、安倍氏が再び総理に返り咲くと、安倍政権は国家戦略特区に加計学園の獣医学部の新設を決定した(国家戦略特区諮問会議での決定は今年1月20日)。
3.個々の重要文書の簡単な解説
以上の事実を踏まえ、文科省が公表した文書のうち以下の文書を読んだだけでも、安倍政権が公募(今年1月4日~11日)したのに、その前から「加計学園ありき」で特区指定による規制緩和をしたことがわかる。
文科省は当初獣医学部の新設に消極的だった。しかし、内閣府は「官邸の最高レベル」の意向と獣医学科開学時期を伝え、文科省に態度変更を迫る。それがわかる文書が2つある。一つは文書「藤原内閣府審議官との打合せ概要(獣医学部新設)」(文書の右肩に⑨と手書きされた文書)で、2016年9月26日に内閣府の審議官、佐藤・参事官、浅野・文科省専門教育課長、同課長補佐の4人が打ち合わせした概要をまとめた文書。「平成30(2018)年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。……。これは官邸の最高レベルが言っていること」などと言ったと書かれている。これに対し、文部科学省側が、今治市の構想を実現するのは「簡単ではない」旨答えると、内閣府側は「『できない』という選択肢はない。やることを早くやらないと責任をとることになる」と恫喝している。
これを基に作成されたのが、文書「獣医学部新設に係る内閣府からの伝達事項」(文書の右肩に①と手書きされた文書)と推察される。これは、内閣府側から文科省側に伝達された事項を文科省担当課長補佐が作ったメモ(2016年9月26日(あるいは以降)に作成されたもの)で、これにも、「平成30年4月にこの学部を開学するのを大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。成田市ほど時間はかけられない。これは官邸の最高レベルが言っていること(むしろもっと厳しいことを言っている)」と書かれている。
それでも、松野文科大臣は内閣府側に対し、「平成30年4月に開学するためには、平成29年3月に設置認可申請する必要がある」が、「平成31年4月を目指した対応とすべきではないか」等と探りを入れるよう文科省事務方に指示したようで、その内容をまとめたのが、文書「大臣ご指示事項」(文書の右肩に③と手書きされた文書)である(2016年10月17日よりも前の文書であろう)。
それに対して、内閣府が回答している。文科省の担当課長補佐が内閣府の回答をまとめたのが、文書「大臣ご確認事項に対する内閣府の回答」(文書の右肩に⑤と手書きされた文書)であり、2016年10月17日に前川前事務次官が受け取ったと説明している。これには、獣医学部の開学時期について「最短距離で規制改革を前提としたプロセスを踏んでいる状況で、これは総理のご意向だと聞いている」と書かれている。これを読むと、内閣府は開学時期について「総理のご意向だ」と説明することで文科省にスケジュールを急がせていることがわかる。
文書「今後のスケジュール(イメージ)」(文書の右肩に⑩と手書きされた文書)は、愛媛県今治市での加計学園の獣医学部新設を前提に、それに向けて、2016年10月から2017年4月の開学予定に至る政府内の大まかな段取りが記載されている文書。作成時期は不明。
官邸内で安倍総理に意向を伝達しているの人物がわかるのが、電子メール「[内々に共有]獣医学部のWGについて」(2016年11月1日)、文書「先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新たなニーズに対応する獣医学部の設置」(文書の右肩に⑪と手書きされた文書)および文書「先端ライフサイエンス研究や地域における感染症対策など、新たなニーズに対応する獣医学部の設置」(文書の右肩に⑪関連資料)と手書きされた文書)であり、そのうち、「関連資料」では「広域的に」などの文言が手書きで加筆修正されており、電子メールには「指示は藤原審議官曰(いわ)く、官邸の萩生田副長官からあったようです」と記されている。
文書「国家戦略特区(獣医学部新設)に係る想定問答」(文書の右肩に⑲と手書きされた文書)は、2016年11月9日の国家戦略特区諮問会議が獣医学部新設のために追加の規制緩和を正式決定した後の記者会見用に作成された文書で、この中には、公募するにもかかわらず「今治市において獣医学部を設置する特定事業者はどう選定されるのか」という質問があり、京都府の地名は出てこない。
4.まとめ
以上の文書を見ると、
内閣府が「官邸の最高レベル」「総理のご意向」を伝えるなどして、文科省の獣医学部新設に消極だった立場を変更させ、スケジュールを急がせたこと、また、「広域的に」などの加筆修正が官邸の萩生田副長官から指示され、その修正がその後正式に決まり、京都産業大学は獣医学部の設置申請を断念に追い込まれたこともわかる。つまり、公募は真の公募ではなく「出来レース」「八百長」であり、安倍総理の「腹心の友」のために国家戦略特区が悪用され、加計学園に獣医学部の新設がプレゼントされたことがわかるのである。