近畿財務局宛要請書

 

近畿財務局局長 美並義人 殿

2017年4月27日

学校法人森友学園との交渉経過のデータの保存
及び第三者委員会の設置等を求める要請書

国有地低額譲渡の真相解明を求める弁護士・研究者の会
要請者代表     弁護士 阪 口 徳 雄
別紙要請者目録記載の弁護士・研究者 計280名

第1 要請の趣旨

1 大阪府豊中市野田地区の国有地の賃貸借、売買における近畿財務局と学校法人森友学園との交渉経過に関する紙ベースの記録・電子情報・パソコン内のデータ―を保存すること

2 豊中市内の国有地を学校法人森友学園に賃貸、売買に至る経過、その理由、及び交渉経過等を調査する公正・中立な別紙記載の第三者委員会を設置して調査し、その結果を公表すること

を要請する。

第2 要請の理由

1 近畿財務局は森友学園に小学校用地として2016年6月、鑑定価格9億5600万円からごみ撤去費8億1900万円などを差し引いた1億3400万円で売却しました。

2 国会などでの審議経過を見ても、何故このような低額譲渡がなされたのか、その経過、ごみ撤去費用に関する算定根拠、交渉経過の記録の廃棄など極めて不透明な内容であり、およそ多くの国民を納得させる説明になっていません。

特に『平成23年度大阪国際空港場外用地(OA301)土壌汚染深度方向調査業務報告書』のP11の地層想定断面図によると深さ2.8mより下部は自然界土質の沖積粘性土質になっておりゴミ等が混入するはずがない場所です。

3 また、それ以前の平成21年1月の「国土交通省大阪航空局・大阪探査技術株式会社」の地中埋設物状況調査報告書によっても、地下埋設物の存在は概ねGL-3mとして結論付けています。仮に、地中埋設物の量が御庁の通りであったとしても、この地中埋設物撤去費用は私達が専門家に調査依頼をしていますが、概算で3億7千万円前後であり、約4億5千万円前後が過大な見積りであるとの見解もあります。

4 近年、オリンパス株式会社に代表されるように、上場企業、地方自治体でこのような疑惑が生じた場合には、直ちに事案の真相解明、再発防止策を検討する第三者委員会を設置して調査しその結果を公表しています。

しかし、御庁では国会での質疑に応じて「適正」に処理したというだけで、自らその経過、価格算定の根拠資料、森友学園の交渉経過などについて調査して、その結果を公表しようとしていません。国会で答弁しているように御庁の判断が正しいとするならば、自浄作用を発揮して事案の真相を解明することは、国家公務員の当然の責務です。

5 交渉経過を記載した文書を廃棄したとの説明は、およそ納得できるものではありませんが、紙ベースの交渉記録文書が仮に廃棄されたとしても、関係者からヒヤリングすることは可能です。またパソコン内のデータであればコンピュータフォレンジック調査(コンピュータ本体に記録された電子データを収集・分析して、証拠とするための技術)を行えば、当時作成した交渉記録も復元できるので、容易に交渉経過も明らかにできるはずです。

今年の6月に貴局のシステムをすべて入れ替えるとの報道もなされています。そうであれば、後日、交渉経過が一切解明されない可能性があります。
また、内部調査又は自らが恣意的に選任した第三者委員会を設置して調査をしても国民の多くは納得することはあり得ません。

6 そこで要請の趣旨に記載したとおり、交渉経過を記録したパソコンのデータ―を保存し、かつ外部の専門家の団体の推薦を受けた外部委員で構成された委員会を設置して経過、その理由、交渉経過等を調査して、その結果を公表することを要請いたします。
2017年5月10日までに本件第三者委員会を設置するのかどうか文書で要請者代表の阪口徳雄弁護士宛に回答されるようお願いいたします。

以上


別紙

国有財産譲渡問題等調査委員会設置要綱(案)

1(設置)

本調査委員会は学校法人森友学園に国有地の譲渡に関して多くの国民からの疑惑を招いたことに関して近畿財務局としての説明責任を果たす為に、国有財産譲渡問題等調査委員会(以下委員会という)を設置する。

2(目的)

本委員会の目的は2016年6月20日学校法人森友学園に1億3400万円で譲渡に至る経過、譲渡金額、交渉経過等を調査し、調査結果を速やかに公表することを目的とする。

3(具体的調査内容)

本委員会は上記目的達成の為に次の点に特に留意して調査を行うものとする。
(1) 本件土地を学園に賃貸する経過について国有地を賃貸する従前の方法と比べて特に不自然ではなかったか。
(2) 本件土地の更地価格が適正であったかどうか。
(3) 本件土地の地中埋設物の算定価格(8億1900万円)が公正妥当であったかどうか。
(4) 本件土地の賃貸経過、売買経過について学園及び政治家などの第三者との面談・交渉記録などを調査する。なお、紙べースでの交渉記録などが不存在の場合は関係した職員からヒヤリングして明らかにすること。なお、担当者のパソコンに記載した情報をコンピュータフォレンジック調査等をして交渉記録の正確性を確保すること。
(5) その他、他の国有地の賃貸、売買と異なる内容で処理している場合はその内容を明らかにすること

4(本委員会の構成)

(1) 本委員会の委員は複数名の外部の弁護士、不動産鑑定士、公認会計士で構成する。
(2) 委員の選任については弁護士においては大阪弁護士会、不動産鑑定士においては大阪府不動産鑑定士協会、公認会計士においては近畿公認会計士協会から推薦された委員とする。外部の委員の推薦に当たっては国、大阪府、学園と過去取引関係がない委員を推薦すること。

5(会長及び副会長)

(1) 本委員会には会長及び副会長を置く。
(2) 会長及び副会長は,委員の互選により定めるものとする。
(3) 会長は,委員会を代表し,会務を総理する。
(4) 副会長は,会長を補佐し,会長に事故があるときは,その職務を代理する。

6(会議等)

(1) 委員会は,会長が招集し,会議の議長を務めるものとする。
(2) 本件調査の為に委員以外の補助者に委嘱して調査活動を行なわせることができる。

7(その他)

この要綱に定めるもののほか,委員会の運営に関し必要な事項は,会長が委員会に諮って定める。

附則

本要綱は2017年(平成29年)5月 日から施行する。

 

別紙「要請者目録」(280名)

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